白馬岳東面・白馬沢左俣

「白馬岳主稜」最終ピッチ付近は、クラシックな急斜面。

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白馬岳東面・白馬沢左俣の滑走ライン

データ

白馬岳東面・白馬沢左俣の滑走シーン1

踏査記録

2009年4月5日
白馬尻〜白馬大雪渓〜白馬沢左俣を滑走〜白馬尻

メンバー:小川
装備:ピッケル・アイゼン・ビーコン・ショベル・ロープ(7mm*30m)・ハーネス・ほか

二股橋〜猿倉付近(テント泊)
〜白馬尻〜大雪渓〜白馬岳〜白馬沢左俣〜白馬尻〜二股橋

4月4日(土)
昼頃、二股橋から入山。歩き始めたとたん、雨が当たりだした。15時、猿倉を越えた辺りの登山道脇に、みぞれの中テントを張る。

4月5日(日)
夜中0時過ぎ、降り続けた雨が上がる。代わって谷筋を吹き降ろす風の音が響き出した。2時頃、外に出て見ると星空。朝食を摂り、3時過ぎに出発する。

白馬尻辺りまで、雨が染み込んで固まった雪の感触があったが、表面をツルツルにする風にはなっていない。雨の悪影響は、あまり無さそうだ。薄らいでゆく星明かりの中、大雪渓の雪は落ち着いた様子に見えた。危険な兆候を感じたら、直ちに逃げ帰ると決めて大雪渓に入る。強い吹き降ろしの風が冷たい。ラッセルは15〜20cmほど。クラストした層は埋まっていない。ひどいデブリもなくて歩きやすかった。結局、稜線近くまで同じ様な状態が続く。晴天だが風は終始強く、稜線付近では、いくつものつむじ風が通り過ぎて行った。

10時から11時まで、山頂付近の建物の影で風をよけてゆっくり休憩。この時、スキー靴のヒンジが壊れている事に気づく。万事休すか!とりあえず、エントリーの斜面にだけは入って見よう。

山頂付近、白馬沢左俣の入り口は、堂々たる風格で素晴らしい。今シーズン、雪庇の張り出しは、全体に小さい様だ。主稜の最終ピッチにアンカーを設置しかけたが、下から上がってくるパーティが見えたので、北隣の尾根に移す。デッドマンでアンカーを取り、20cmほどの雪庇を崩して斜面に入ってみる。最大斜度は実測値で55度。柔らかな雪が厚めに着いていて、強いエッジングは必要なさそうだ。斜面から上がってくると、すっかりやる気になっていた。靴の故障は応急処置をすれば、何とかなるだろう。

もたもたしていたら、エントリーは12時半になってしまった。小雪庇をまたいで、斜面に入る。山頂寄りの溝に入れば、より長く急斜面を滑れるのだが、靴が故障しているので安全策で北寄りの溝へ。50度以上の区間は10m以下。足をとられやすい雪質なので、無理せずターンは1回ごとに区切ってゆく。

斜度の強い上部を適当にいなして広い斜面に入ると、縁の方に厚み15〜20cmのクラウンが見られた。前回の荒天で出来たスラブが、2日半の晴天できれいに落ち切ったものだろうか。堆積物に、板状の形はあまり残っていない。

下部の滝場は中央突破できそうな状態だったが、右手の小沢にラインを移し無難に越える。
白馬沢下部は重めの雪だが、デブリに煩わされる事もなく、わずかな登り返しで大雪渓に合流できた。

白馬沢左俣には思い入れがあって、均質な60度の標準ルートではないかという期待がありました。残念ながらそこまでの斜度は無いようですが、堂々たる風格のクラシックです。

(小川)

白馬岳東面・白馬沢左俣の滑走シーン2